カジノと一緒に心配されている依存症とは?

近年国会でもよく取り上げられているのが、カジノ統合型リゾート案です。
これに纏わる汚職が目立っているのは耳の痛い話ですが、経済効果などを考えれば非常に気になっている人も多いのではないでしょうか。

しかしもし本当に実現するとなると、併せて考慮しなければいけないのがギャンブル依存症患者の対策です。
既に日本では疑わしい人を含めると300万人以上いるとされており、諸外国と比較しても罹患率が高いと危惧されています。
現状でも十分多いと言える状態なのにも関わらず、更にカジノという大型コンテンツが導入されるとどうなってしまうのか、最早国民病と呼ぶまでにその数字は膨らんでしまうかもしれません。

そもそも依存症とは、止めたくても止められない状態にあることを指します。
強制的に止めさせると、禁断症状が出たり暴言や暴力を振るう人もおり、一見健康被害とは無関係そうに見えても身体を壊すさえあるのです。
そしてこれがギャンブルに特化した依存症になると、周囲が見えなくなるほどのめり込みお金を賭ける高揚感を常に求めるようになります。

勝っても負けてもそこに至るまでのスリルに夢中になり、普通の日常では落ち着かなくなるわけです。
当然負け続けると経済的に困窮していきますが、依存症の人は借金をしてでも続けようとします。
いつか勝つから、勝ったら借金も返せるから、そうして大義名分を掲げてはまたお金を賭けてしまうのです。

その反面本人の中にも気まずさや危機感はあるので、他者からギャンブルのことで指摘をされると嘘をつくなどの保身に走ります。
追い詰められると所謂逆ギレを起こす人もおり、段々と孤立を深めるのが典型的な例となっています。
こうして見てみると、いかに危険な病気であるかが判るでしょう。

誰しもが最初は、自分はそうならないと思って足を踏み入れます。
適度なところでやめようと、さすがに借金まではしないと、常識的なモラルを持っていてもいつの間にか夢中になるのです。以上のことから、ギャンブルは魔物だと評する専門かも現れ始めました。

ですがここで思い返してほしいのが、既に日本にはありとあらゆるギャンブルで溢れ返っているという事実です。
パチンコにスロット、競馬に競輪、ゲームアプリのガチャシステムも射幸心や高揚感を煽るのには十分でしょう。
なのに何故今更、カジノの名前が出ただけで急な心配をするようになったのか、そこに不自然さを感じずにはいられません。

結局は遊ぶゲーム性や、賭けるお金の規模が変わるだけなのです。
カジノができようができまいが、パチンコを始めとするコンテンツが在り続ける以上依存症患者は増え続けるでしょう。
よってカジノへの反対主張として、ここまで触れてきた依存症問題を持ち出すのはナンセンスと言えます。

寧ろそうした法案が出るようになってから、依存症への認識を持ち始めた人の多さにも驚くばかりです。
世界では1970年代頃から既に問題視されていたのにも関わらず、日本で本格的な治療や隔離シェルターが用意されたのは2000年以降の話です。

今までがあまりにもお気楽過ぎた、そう捉えるのが正しい解釈なのではないでしょうか。
政府の方も、法案と共に具体的な依存症対策を提示しています。

今後どこまで実現化が進むかは不明ですが、カジノをきっかけとして1人でも多くの患者が救われることを願うばかりです。
同時に新たな患者を増やさないためには、新たなギャンブルコンテンツを拒絶することよりも確かな知識と理解を深める方が先決でしょう。

海外の成功モデルも参考にしながら、他ならぬ自分自身がそうならないよう努めていかなければなりません。
それさえできれば、法案に対してポジティブな受け止め方ができる人も増えてくるはずです。